血縁者がファブリー病と
診断された方

ファブリー病について

ファブリー病とは

わたしたちの体内では、日々、必要な物質をつくり出したり、不要な物質を分解したりしています。とくに細胞の中にある「ライソゾーム」というところでは、さまざまな「酵素」が分解を担っています1)。ファブリー病は、一部の酵素のはたらきが低下することで、不要な物質であるグロボトリアオシルセラミド (globotriaosylceramide: Gb3またはGL3、別名セラミドトリヘキソシド、ceramide trihexoside: CTH)が分解されずに細胞にたまってしまい、全身にさまざまな症状がみられる病気です2)。ただし、ファブリー病の症状は年齢により異なり、子どもの頃は手足の痛みや汗をかきにくいなどの症状がよくみられますが、年齢とともに心臓や脳、腎臓の症状がみられるようになります3-5)
1) de Duve C. Nat Cell Biol. 2005, 7, 847-849.
2) 難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4063)
(2022年8月1日閲覧)
3) Desnick RJ et al. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease.
8th ed, New York, McGraw-Hill, 2001, 3733-3774.
4) 日本先天代謝異常学会. ファブリー病診療ガイドライン2020. 診断と治療社, 2021.
小児慢性特定疾病情報センター
(https://www.shouman.jp/disease/details/08_06_091/)
(2022年8月1日閲覧)
5) 衞藤義勝ほか. ファブリー病UpDate. 診断と治療社, 2013, 62-65.
ライソゾーム病について
細胞の中にある「ライソゾーム」には、不要な物質を分解するためのさまざまな「酵素」が存在します。ライソゾーム病は、これらの酵素のはたらきが生まれつき低下していることにより、不要な物質が分解されずに細胞にたまってしまう病気です。酵素の種類により症状は異なりますが、全身にさまざまな症状がみられ、年齢とともに症状も徐々に進行することが特徴です。ファブリー病もライソゾーム病の一種です。
de Duve C. Nat Cell Biol. 2005, 7, 847-849.
難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4063)
(2022年8月1日閲覧)

遺伝する病気 -ファブリー病-

ファブリー病は親から子へと受け継がれる遺伝性の病気です。ファブリー病の原因となる遺伝子はX染色体上に存在し、X連鎖遺伝という遺伝形式をとります。一般的に男性はX染色体とY染色体を1本ずつ、女性はX染色体を2本持ち、変化した遺伝子が存在するX染色体は親から子へと受け継がれる可能性があります1,2)
変化している遺伝子が子どもに受け継がれる可能性は性別にかかわらず平均すると50%です。
変化している遺伝子が娘に受け継がれる可能性は100%ですが、息子に伝わる可能性はありません。
変化している遺伝子が子どもに受け継がれる可能性は性別にかかわらず平均すると50%です。
変化している遺伝子が娘に受け継がれる可能性は100%ですが、息子に伝わる可能性はありません。
1)Germain DP. Chapter 7 General aspects of X-inked diseases. In: Fabry Disease: Perspectives from 5 Years of FOS. Oxford PharmaGenesis, 2006.
2)Desnick RJ et al. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease. 8th ed, New York, McGraw-Hill, 2001, 3733-3774.

ファブリー病のタイプ

男性と女性でファブリー病の症状のあらわれ方が異なります。男性では子どもの頃から症状があらわれるタイプ(古典型)や大人になってから症状があらわれるタイプ(遅発型)、女性では無症状から重い症状まで、患者さんによって症状のあらわれ方はさまざまです。

男性の場合

古典型
子どもの頃からファブリー病に特徴的な症状があらわれ、全身にさまざまな症状がみられます。

主な症状

子ども
手足の痛み、汗をかきにくいなどの神経や皮膚の症状 など

大人
タンパク尿や腎不全などの腎臓の症状、心肥大や不整脈、心不全などの心臓の症状、脳梗塞や脳出血などの脳の症状 など
遅発型
子どもの頃には症状があらわれず、大人になってから心臓(心亜型)や腎臓(腎亜型)など一部の臓器に症状がみられます。

女性の場合

ファブリー病を発症する年齢や症状の進行は男性に比べて遅い傾向がありますが、無症状から重い症状まで、患者さんによって症状の程度やあらわれ方はさまざまです。
日本先天代謝異常学会.ファブリー病診療ガイドライン2020.診断と治療社, 2021.
小児慢性特定疾病情報センター
(https://www.shouman.jp/disease/instructions/08_06_091/)
(2022年8月1日閲覧)

ファブリー病の診断

ファブリー病は、症状と検査にもとづき診断されます。

症状の確認

手足の痛み、汗をかきにくいなどの神経や皮膚の症状、腎臓や心臓、脳などのファブリー病に特徴的な症状について確認します。また、ファブリー病は遺伝する病気であるため、ご家族にファブリー病が疑われる症状があるかどうかについても診断の重要なポイントとなります。

検査の実施

酵素活性の測定
体内で不要になった物質を分解する酵素のはたらきが低下しているかどうかを確認します。
遺伝子検査
酵素をつくる遺伝子に変化があるかどうかを確認します。
女性では、酵素のはたらきから診断を確定することが難しい場合があります。症状や遺伝子検査、その他の検査の結果より総合的に診断します。
日本先天代謝異常学会.ファブリー病診療ガイドライン2020. 診断と治療社, 2021.
ファブリー病診断治療ハンドブック編集委員会.ファブリー病診断治療ハンドブック 改訂第3版.
イーエヌメディックス, 2018.
小児慢性特定疾病情報センター
(https://www.shouman.jp/disease/instructions/08_06_091/)
(2022年8月1日閲覧)

ファブリー病の治療

ファブリー病の治療法には、「酵素補充療法」や「薬理学的シャペロン療法」、「対症療法」があります。

酵素補充療法

酵素を点滴により補充することで、たまってしまった物質の分解を促す治療法です。ファブリー病の症状の改善や進行を抑えることが期待できます。
投与方法
患者さんの体重に応じて必要量を2週間ごとに点滴投与します。
主な副作用
治療中に次のような副作用がみられることがあります。
このほか、使用する薬に対して抗体ができることにより、薬の効果が弱まることがあります。
副作用がみられる場合には、医師または看護師にご相談ください。

薬理学的シャペロン療法

酵素のはたらきを助けることで、たまってしまった物質の分解を促す治療法です。ファブリー病の症状の改善や進行を抑えることが期待できます。
投与方法
1日おきに服用します。
なお、薬理学的シャペロン療法は、酵素のはたらきが低下していることや遺伝子の変化が確認された患者さんが対象となります。

対症療法

ファブリー病でみられるさまざまな症状を軽減する治療法です。
対症療法の例
腎臓の症状
血圧を下げる薬の服用や透析、
腎移植など

心臓の症状
不整脈を防ぐ薬や血圧を下げる薬の服用、ペースメーカーの装着、バイパス手術など

脳、神経の症状
血栓を防ぐ薬や抗けいれん薬など
ファブリー病と診断が確定するまでに時間がかかることが知られていますが、適切なタイミングで治療を開始することで、ファブリー病の症状を改善し、進行を遅らせることが期待できます。治療を早期に開始し、ファブリー病の症状の進行を抑えるためにも、気になる症状がある場合は、早めに医師にご相談ください。
日本先天代謝異常学会.ファブリー病診療ガイドライン2020.診断と治療社, 2021.
Mehta A et al. Eur J Clin Invest. 2004, 34, 236-242.
Mehta A et al. QJM. 2010, 103, 641-659.
Eng CM et al. J Inherit Metab Dis. 2007, 30, 184-192.

大切なのはより早い診断

ファブリー病は、患者さんごとに症状のあらわれ方や程度が異なることなどから診断が難しく、発症から診断までに10〜15年程度かかるとされています。また、症状も年齢とともに徐々に進行し、若くして亡くなる場合も多いことが知られています。

ファブリー病は、適切なタイミングで治療を開始することで、症状の改善や進行を抑えることが期待できます。ファブリー病の症状をコントロールし、QOL(生活の質)や経過をよりよいものとしていくためにも、より早期の診断が重要です。

日本先天代謝異常学会.ファブリー病診療ガイドライン2020.診断と治療社, 2021.
Mehta A et al. Eur J Clin Invest. 2004, 34, 236-242.
Eng CM et al. J Inherit Metab Dis. 2007, 30, 184-192.
MacDermot KD et al. J Med Genet. 2001, 38, 750-760.
MacDermot KD et al. J Med Genet. 2001, 38, 769-807.
Branton M et al. J Am Soc Nephrol. 2002, 13 Suppl 2, S139-143.
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